【医師・看護師の医療現場におけるスマートフォン利用実態調査】 私用スマホの業務利用が約6割、 ただし3分の2以上が「抵抗」あり、理由は「情報漏洩リスク」が最多 利用上位は「通話・ネット検索・メール」、業務用PHSへの不満ゆえの実態か 〜6割超が厚生労働省の新ガイドラインを十分認知せず、病院向けセキュリティ啓発が課題〜
※詳細は添付のPDFファイル参照
株式会社メドコム(本社:東京都港区、代表取締役社長 兼CEO:佐藤康行、以下「メドコム」)は、全国の医師・看護師311名に対し、「医師・看護師の医療現場におけるスマートフォン利用」に関する実態調査を実施しました。
調査の結果、約6割が私用スマホを業務利用している一方で、そのことに関して、3分の2以上が「抵抗がある」または「やや抵抗がある」と回答、その理由は「情報漏洩のリスク」が最多でした。また、私用スマホの利用用途の上位は、通話、ネット検索、メールでした。現在多くの医療現場で普及する業務用PHSへの不満は、電話の音質が悪いことや機能の少なさが挙げられており、これらを解決するために私用スマホを利用している様子がうかがえます。さらに、厚生労働省が医療機関のセキュリティ対策強化を図り公開した「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」は6割超が十分に認知していない実態も明らかになりました。
■主な調査結果
・私用スマホの利用実態と心理
① 医師・看護師の60.0%が業務で私用スマホを使用している。
② 業務で私用スマホを使用する用途は「電話(音声)」71.0%に次いで「インターネット検索」52.7%、「メールの送受信」40.9%が多く、業務用PHSではニーズに対応できていないことがうかがえる。
③ 医療現場で私用スマホを使用することに、3分の2以上が「抵抗がある」または「やや抵抗がある」と回答。
④ 私用スマホを使用することについて抵抗がある1番の理由は「患者情報等の個人情報の漏洩リスクがあるから」が31.1%と、セキュリティを心配する声が上位。
⑤ 私用スマホを使用することについて抵抗がない1番の理由は「私用スマホでないと業務時間外に連絡を取る手段がないから」が57.1%で半数以上、私用スマホが欠かせない状況がうかがえる。
・業務用PHSの利用意向と不満
⑥ 医師・看護師の76.8%が「今後も職場で業務用PHSを利用したい」と答える一方、61.3%が「業務用PHSに代わる端末があれば、業務用PHSから切り替えたい」と要望。
⑦ 業務用PHSに対する不満は「電話の音質が悪い」、「ナースコールが鳴り続けて他の機能が使えない」、「機能が少ない」が上位。25.6%はチャットやその他のツールが使えないことに不満。
・厚生労働省発表「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」の認知度
⑧ 医療現場では、厚労省がまとめた医療情報ガイドラインについて、その「存在を知らない」「存在を知っているが、どのようなものかは知らない」が合わせて 64.0%と、十分認知されていない。
・コミュニケーション及び情報管理の課題と、業務用スマホ導入の意向
⑨ 勤務先の医療機関において、コミュニケーションや情報管理で困っていることは、「スタッフが忙しそうで、連絡をとりづらい(話しかけづらい)」(27.3%)、「業務に必要な情報や書類を探すのに時間がかかる」(20.3%)、「業務に必要な情報や書類が整理されていない」(18.6%)、「他のスタッフとのコミュニケーション方法が限られている」(13.2%)など。
⑩ 医療機関向け業務用スマホを利用したいと考える人が、そう考える理由は、「業務に必要な機能が揃っている」「セキュリティ面で安心」「私用スマホを使わなくて済む」「スタッフ間での端末共有が可能だからなどが上位。
■調査背景
2024年4月に医師の働き方改革が施行され、タスクシフトや、デジタルを活用した病院内の生産性向上への関心が高まっています。
しかし、多くの医療機関では、医療従事者間のコミュニケーションには1990年代に普及したPHSが今も主流となっているのが実態です。病院業務のDXへの取り組みが急務となっている一方で、個人情報漏洩やランサムウェア攻撃被害が相次いで発生し、厚生労働省から情報通信に対する対策のガイドライン(医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(以下、「医療情報ガイドライン」))が提示されるなど、医療機関におけるセキュリティ対策は喫緊の課題であり、高いセキュリティレベルで安心・安全に利用できる病院内コミュニケーションツールのニーズが高まっています。この度、メドコムでは、医療現場で働く医師・看護師における業務用PHSや業務用スマホ、加えて私用スマホの利用実態を調査することで、医療現場におけるコミュニケーションツールの課題を明らかにしました。
■主な調査結果 詳細
①医師・看護師の60%が業務で私用スマホを使用している。
業務における携帯端末の利用状況を聞くと、業務用スマホが30.0%まで導入が進んでいるものの、業務用PHSが79.0%と、依然としてPHSが主流だった。また、60.0%が私用スマホを使用しており、業務上のコミュニケーションで、スマホのニーズが高いことがうかがえる。
②業務で私用スマホを使用する用途は「電話(音声)」71.0%に次いで「インターネット検索」52.7%、「メールの送受信」40.9%が多く、業務用PHSではニーズに対応できていないことがうかがえる。
業務において、私用スマホでどのような機能を利用したことがあるかを聞くと、最多が「電話(音声)」71.0%、次いで「インターネット検索」52.7%、「メールの送受信」40.9%だった。以下、「カメラ(写真・動画撮影)」、「メモ帳」、「シフト・勤怠管理」、「ビデオ通話」、「録音」が続いた。「その他」の回答では、翻訳アプリや職場での意識調査のアンケートの回答への利用が複数みられ、スマートフォンがPHSでは対応できない様々なニーズに応えている様子が見られる。
③医療現場で私用スマホを使用することに、3分の2以上が「抵抗がある」または「やや抵抗がある」と回答。
私用スマホを業務で利用することについてどう思うかを聞くと、「抵抗がある」41.5%、「やや抵抗がある」25.7%で、7割近く(計67.2%)が躊躇している様子が見られる。これに対し、「抵抗がない」3.9%、「あまり抵抗がない」7.4%は1割程度(計11.3%)で、抵抗感を持ちながらも現場で必要に迫られ、私用スマホを使用している人が多く存在していると考えられる。
④私用スマホを使用することについて抵抗がある1番の理由は「患者情報等の個人情報の漏洩リスクがあるから」が31.1%と、セキュリティを心配する声が上位。
私用スマホを業務で利用することについて、「抵抗がある」または「やや抵抗がある」と回答した209名にその理由を聞くと、「患者情報等の個人情報の漏洩リスクがあるから」57.9%が最多で、次いで「業務とプライベートの切り替えができなくなる(なりそうだ)から」57.9%、「携帯電話料金(通信量など)での負担が増える(増えそうだ)から)」46.4%、「自分の携帯番号やLINE IDなどを上司・同僚の人に伝えなくてはならないから」44.5%だった。
また、最も強い理由をひとつのみ聞いた場合は、「患者情報等の個人情報の漏洩リスクがあるから」が31.1%と1番多く、セキュリティを懸念する声が高かった。
⑤私用スマホを使用することについて抵抗がない1番の理由は「私用スマホでないと業務時間外に連絡を取る手段がないから」が57.1%で半数以上、私用スマホが欠かせない状況がうかがえる。
私用スマホを業務で利用することについて、「抵抗がない」または「あまり抵抗がない」と回答した35名にその理由を聞くと、「私用スマホでないと業務時間外に連絡をとる手段がないから」が57.1%で最多だった。次いで「私用スマホを使用することに特に問題はないと思っているから」42.9%だった。
また、最も強い理由をひとつのみ聞いた場合は、「私用スマホでないと業務時間外に連絡をとる手段がないから」が42.9%と1番多く、回答者の半数以上が、業務時間外の連絡手段の必要性が確認された。
⑥医師・看護師の76.8%が「今後も職場で業務用PHSを利用したい」と答える一方、61.3%が「業務用PHSに代わる端末があれば、業務用PHSから切り替えたい」と要望。
職場での業務用PHSの利用継続の希望やPHSから切り替えたいかを聞くと、76.8%がPHSを継続利用したいと考える一方で、61.3%はPHSに代わる端末への切り替えにも積極的だった。
⑦業務用PHSに対する不満は「電話の音質が悪い」、「ナースコールが鳴り続けて他の機能が使えない」、「機能が少ない」が上位。25.6%はチャットやその他のツールが使えないことに不満。
業務用PHSについて、不満に感じていることはあるかを聞くと、上位は「電話の音質が悪く、相手の声が聞き取りづらい」31.3%、「ナースコールが鳴り続けていて、業務用PHSの他の機能が使えない(電話など)」25.6%、「機能が少ない(テキストメッセージやビデオ通話ができないなど)」25.6%だった。
また、最も強い理由をひとつのみ聞いた場合は、「電話の音質が悪く、相手の声が聞き取りづらい」「ナースコールが鳴り続けていて、業務用PHSの他の機能が使えない(電話など)」が共に13.8%で上位だった。
⑧医療現場では、厚労省がまとめた医療情報ガイドラインについて、その「存在を知らない」「存在を知っているが、どのようなものかは知らない」が合わせて64.0%と、十分認知されていない。
厚生労働省による「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」についてどの程度知っているかを聞くと、「ガイドラインの存在を知らない」が最多で41.8%だった。次いで「ガイドラインの存在を知っており、内容も少し知っている」22.8%、「ガイドラインの存在を知っているが、どのようなものかは知らない」22.2%だった。「ガイドラインの存在を知っており、内容もよく知っている」が13.2%と、医療現場で十分認知されていないことが確認された。
⑨勤務先の医療機関において、コミュニケーションや情報管理で困っていることは、「スタッフが忙しそうで、連絡をとりづらい(話しかけづらい)」(27.3%)、「業務に必要な情報や書類を探すのに時間がかかる」(20.3%)、「業務に必要な情報や書類が整理されていない」(18.6%)、「他のスタッフとのコミュニケーション方法が限られている」(13.2%)など。
勤務先の医療機関において、コミュニケーションや情報管理の面で困っていることを聞くと、「スタッフが忙しそうで、連絡をとりづらい(話しかけづらい)」27.3%が最多で、「他のスタッフとのコミュニケーション方法が限られている」13.2%、「緊急の事態が発生したとき、スタッフ間ですぐに連絡がとれない」10.9%なども多く見られた。電話以外のメールやチャットといったテキストコミュニケーションであれば、スタッフ各自が都合の良いタイミングで連絡が取り合えるようになるため、業務効率化やストレス軽減となり普及が望まれる。また「業務に必要な情報や書類を探すのに時間がかかる」20.3%、「業務に必要な情報や書類が整理されていない」18.6%、「業務に必要な情報や書類の置き場がない」10.9%という回答も多く、情報の整理や管理機能の強化、デジタル化など業務環境の改善が望まれる。
⑩医療機関向け業務用スマホを利用したい理由は、「業務に必要な機能が揃っている」「セキュリティ面で安心」「私用スマホを使わなくて済む」「スタッフ間での端末共有が可能だから」などが上位。
医療機関向け業務用スマホを利用したいか聞くと、最多は「どちらともいえない」48.6%で、約半数に慎重な姿勢が見られた。利用に積極的なのは3割で、「利用したい」10.6%、「やや利用したい」22.5%(計33.1%)。一方、2割弱は「あまり利用したくない」10.0%、「利用したくない」8.4%(計18.4%)だった。
「利用したい」または「やや利用したい」と回答した103名に理由を聞くと、「電子カルテと連携が可能だから」67.0%、「業務に必要な機能が一通り揃っているから」53.4%、「セキュリティ面で安心だから」47.6%、「職員に対し効率的に連絡がとれるから」45.6%といった機能・セキュリティ面を推す他、「私用スマホを使わなくてすみそうだから」51.5%という声も多かった。
「利用したくない」「あまり利用したくない」と回答した57名に理由を聞くと、「現在使用している端末で十分だから」33.3%のほか、「実際に使ってみないと良さがわからないから」26.3%、「機能をうまく使いこなせないと思うから」26.3%で、変化に慎重な姿勢がうかがえた。
■考察
医療機関では、依然としてPHSが多く使われており、そのような中で、多くの医療従事者が職場で私用スマホを使用している実態が明らかになりました。なお、今回の調査対象者が勤務する医療機関において、BYOD(Bring Your Own Device、私物端末の業務利用)を導入している医療機関が含まれている可能性はありますが、医療現場で私用スマホを使用することについて、3分の2以上が「抵抗がある」または「やや抵抗がある」と回答しており、本意ではない様子がうかがえます。また、理由としては患者情報等の個人情報の漏洩リスクといったセキュリティ面の心配が挙げられています。そういった中で、業務用PHSが医療現場のニーズに応えきれていないことから、必要に迫られて私用スマホを使用せざるを得ない医療の現場があることも事実です。
また、私用スマホの使用に関してセキュリティ面を懸念する声がある一方で、厚生労働省が定める医療情報ガイドラインに対する理解が進んでいないことが分かりました。現場の医療従事者においても、医療情報ガイドラインへの理解が深まり、医療機関としてセキュリティ対策が強化されていくことが求められます。
さらに、コミュニケーションの問題に限らず、情報の整理・紙ベースの業務環境などにおける課題も見られたことから、業務用スマホ導入を通じた病院業務のDX化の潜在的なニーズが感じられました。今回の調査におけるスマートフォンへの期待からすると、病院業務におけるスマートフォンには、
① 電子カルテ連携が出来ること
② セキュリティ面が担保されていること
③ 業務アプリケーションが利用できること
④ 院内のコミュニケーションを支えること
が要件であることが確認されました。
今回の調査結果を受けて、メドコムは、病院が業務用スマホを導入することによって、私用スマホの利用により抱いている医療従事者の抵抗感を軽減できることも「医師(に限らない、医療従事者)の働き方改革」に繋がるのではないかと考えました。今後もメドコムは、医療機関専用スマートフォン「メドコム」の継続的なセキュリティ強化や利便性・利用価値を向上させ、医療機関のDX化の推進に貢献できるよう取り組んでまいります。
■調査概要
調査名:医師・看護師の医療現場におけるスマートフォン利用実態調査
調査期間:2024年3月12日~3月14日
調査方法:インターネットを利用したアンケート調査
有効回答数:311(医師155、看護師156)
■医療機関向けスマートフォン「メドコム」とは
「メドコム」は、PHSがメインの病院内コミュニケーションインフラを、スマートフォンによりデジタル化を促進させる医療機関向けスマートフォンサービスとして、病院内で活用されています。スマートフォンにはナースコール連携、内線電話、グループチャット、緊急通報、端末の遠隔管理など、医療現場で必要な機能を標準搭載するとともに、専用回線で直接接続する閉域ネットワーク上での動作により高いセキュリティレベルで安心・安全に利用できる環境を実現しています。
詳細:https://medcom.ne.jp/services/mobile/
■会社概要
社名 :株式会社メドコム
※2024年4月1日に株式会社フロンティア・フィールドから株式会社メドコムに社名変更しました
所在地 :東京都港区芝浦1丁目1番1号 浜松町ビルディング14階
代表者 :代表取締役社長 兼 CEO 佐藤 康行
設立 :2016年7月
事業内容:医療機関専用スマートフォン「メドコム」の企画・開発・販売・保守
URL :https://www.medcom.ne.jp/
■「メドコムニュース」
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