【プレスリリース】会津若松市役所で初の働き方改革試行で、モデル部署にて庁内外の問合せ件数5割減、有給取得5割増 突発的な市民からの問い合わせを事前アポ制に変更し、行政の残業減と市民満足度向上の両方を達成 ~モデル事業を通じ、メール等の活用推進や工事発注の平準化・工期の集中回避等に向けた全庁的な議論へ展開~
働き方改革コンサルティングの株式会社ワーク・ライフバランス(本社:東京都港区、代表取締役:小室淑恵)は、2021年7月より福島県会津若松市(市長:室井 照平)に長時間労働や仕事の属人化・偏りの改善などの働き方改革コンサルティングを導入し、8か月間にわたり働き方の見える化を実施したことで、モデル部署の庁内外の問い合わせ件数5割減、有休取得5割増といった成果をあげました。
モデル職場である契約検査課、公共施設管理課、農政課は、潜在化していた職場の課題を特定する「カエル会議」の実施や、時間の使い方や業務の進捗を見える化するITツール「朝メールドットコム®」 の活用で、これまで慣習的に行ってきた業務の見える化や効率化を進め、質の高い行政サービスの提供と業務の生産性向上の両方を同時に実現しました。さらに、モデル職場の取組みを通じて、メールやチャットツールの活用推進や工事発注の平準化、工期の集中回避等、全庁的な課題へと議論を広げることができました。
これらの成果をもとに、会津若松市は、来年度以降も、引き続き各職場での働き方改革の取組みを推進するとともに、全庁的な課題の解決に向けた部局横断的な議論を進め、よりよい行政サービスの提供や更なるイノベーションの創出につなげていく予定です。
■働き方改革コンサルティングについて
「働き方改革コンサルティング」とは、約8か月間で働き方改革に必要なノウハウを現場に定着させる伴走型のコンサルティングサービスです。各社員の時間の使い方の可視化や、チームでの課題整理や働き方の見直しを促す「カエル会議」を行うことで、時間当たりの生産性向上や私生活の充実を実現し、イノベーション創出につなげていくことが特徴です。指導型のコンサルティングではなく、コーチング技術を用い、現場が自発的に考え始める仕組みを提供します。2006年の創業当時より提供を開始、それ以来、3,000社の企業の働き方改革に伴走し、残業時間半減や労働生産性3割増、新規事業の創出といった成果につなげてきました。2020年のCOVID-19影響下においても、オンライン会議システム等を用いて継続的な取組みを行う企業がほとんどです。
■会津若松市の取組みの背景
会津若松市役所は、仕事の属人化による特定の職員への業務の偏りが課題でした。これらの課題を解決するためには、課やグループ単位でこれまでの仕事の進め方や業務のあり方を見直すことが必要であると考えていました。特に2020年に発生したコロナ渦により、新しい仕事様式の導入に対する社会的要請が高まったこともあり、長年この分野で実績を出している株式会社ワーク・ライフバランスの働き方改革コンサルティングの導入にいたりました。
■会津若松市役所の主な取組みと成果
2021年7月より業務内容が異なる庁内3つの職場(契約検査課、公共施設管理課、農政課)の31名を対象に試行を開始しました。
取組み内容としては、1日の予定を立てて実績を振り返ることで、時間の使い方の差異から働き方改革の課題を見つける「朝メールドットコム®」の活用、チームごとに課題をみつけ解決策を議論する「カエル会議」で、チームとしての業務改善の意見を出し合いました。
これらの取組みを通じて、来庁相談の事前予約の仕組みの利用促進や、マニュアルの整備や情報共有の徹底による業務の属人化からの脱却、コロナ禍など不測の事態が発生しても業務を継続できる体制の構築といった成果が生まれました。
【契約検査課の取組みと成果】
・業者からの急な相談や問い合わせが多発し、計画的な仕事が阻害されていたため、利用者目線にたったホームページに刷新、入札参加資格登録に関する情報を変更しました。その結果、視認性が向上し、Q&Aも見つけやすくなりました。
・庁内からの問い合わせ電話が多く、集中して業務を進めることが難しかったため、問い合わせ手段を原則チャット・メールに変更しました。その結果、週当たりの問い合わせ電話件数が約5割減になりました。
・データ管理のルールが統一されておらず、必要なデータを探すために無駄な時間が発生していたため、不要な過去データの断捨離、データ管理のルール化を進めました。その結果、共有データが見つけやすくなりました。
・工事の発注時期が毎年6月~8月に集中することにより、過度な残業を引き起こしていたことが業務スケジュールの見える化をしたことで判明しました。そのため、2022年度以降は、「公告予定一覧表」を作成し、公表工事の平準化に向けて効果を検証し、会津若松市内の建設業界全体の課題につながる取組みの一歩となりました。
【公共施設管理課の取組みと成果】
・紙資料からデータへの移行が進んでおらず、業務効率が低下していることから、図面のCAD化・PDF化(データ化)に向け、資料の状況の確認やリストアップ等を進めました。また、業務効率化に向け、積算システムやモニターの導入の必要性を検証し、来年度の予算への追加を提案、実現につなげました。(導入後の平均作業時間が約37%削減される見込み)
・資料(図面保管場所、見積徴収先、過去の質問回答例など)や共有データの保存方法等を整理・見直しし、業務マニュアルを作成しました。その結果、ケアレスミスの防止や、作業の均質化、業務の引継ぎや若手職員への円滑な技術継承等につなげました。
・職員の情報共有の円滑化や効率化のため、全庁的なチャットツール(LoGoチャット)の運用ルールを作成し、積極的な利用につなげました。また、作成した運用ルールについて、今後、他部局との共有を進め、全庁的な情報共有の効率化につなげていきます。
・職場内のコミュニケーションの円滑化や心理的安全性の向上に向け、毎週金曜日に職員同士で感謝や褒め言葉等を贈り合う「サンキューフライデー」を実施しました。
【農政課の取組みと成果】
・窓口対応は本来業務であるものの、予定外の来庁者対応により、計画的に業務が進まず、残業になっていたため、来庁者に対し事前アポイント制に今後協力いただくよう、口頭で丁寧に繰り返し依頼しました。その結果、事前のアポイント(約束)による訪問が3割も増えたことに加え、来庁目的が明確になることで適切な資料の事前準備が可能となり、窓口対応する職員の残業時間は取組前と比べて38%減少しました。
・カエル会議を通じて、「仕事を頑張り過ぎて、気持ちに余裕が持てない、気軽に相談できない雰囲気がある」職員が多いという課題があったため、お願いリストの作成やマニュアルの整備を行うことで、協力・連携の意識が増えて、休暇が取りやすくなったという成果につながりました。
・「一人で仕事を抱えてしまいがちで、周りとの連携がうまく図れない」という課題があったため、業務の主・副担当間で、定期的にミーティングを実施することで、課内メンバー間の協力や連携が進み、計画的に休みやすい体制をつくることができました。その結果、有給休暇取得率が前年と比べて5割増となりました。
こうした取組みをふまえ、今期のモデル職場では働き方改革に対する意識が「余計な仕事ではなかった」と考えるようになり、行政の責務達成のためにもお互いの部署が連携して課題解決に取り組む必要性を実感、地域の建設業の業務平準化や工期の集中回避に向けたタスクフォースの設置が進むなど、職員の主体的な動きが活発化しています。また、人事異動に伴う配置換えがあっても、今回の働き方改革の取組みを継続しながら、業務が滞りなく進むよう、取組みを定着する工夫や、メンバー間で密なコミュニケーションがとれる心理的安全性も生まれました。
こうしたモデル職場での試行結果をもとに、来年度以降も確実に庁内の働き方改革と行政サービスの質向上が両輪となって継続される仕組みや、庁内への他職場の水平展開も視野に入れた取組みを継続していきます。
■会津若松市長によるコメント
2020年10月の小室社長の講演で、「働き方改革」は少子化対策、地方創生に直結すると確信し、、市役所の働き方改革がスタートしました。民間企業よりも率先して、市役所職員が働き方を変えていくため、昨年2月に市役所の指針を作成し、具体的な働き方改革の取組みに着手しました。今年度の取組みを通じて、庁内に基本的な考え方、仕事の向き合い方を共有できました。また、組織として情報共有や連携づくりを継続するために、職員それぞれが自律的に働き、職場の課題を解決しようとする動きが活発になったことが大きな変化で、とても有意義でした。実施して良かったです。
今後も、トライ&エラーを恐れず、さまざまな変化に対応できる柔軟な市役所を作っていきたいし、職員自身がワーク・ライフバランスを健全に保つことで、市民へ仕事としてお返していける会津若松市役所を目指していきたいと考えています。
また、今年4月から法改正される男性育休取得推進についても、100%取得を目標に掲げており、市役所としてどのようにしたら実現できるのか考えていきます。
■担当コンサルタント
風間正彦(かざままさひこ)、二瓶美紀子(にへいみきこ)
■会津若松市への「働き方改革コンサルティング」導入について
別添を参照ください。