【2023年度まとめ】脱サラ経営者に関する実態調査 コロナ下以降の20代の開業率は約5割。若年層のチャレンジ精神が日本の開業を後押し 20代は独立後に転職など会社員に戻る選択肢を残し、50代では独立への覚悟が強い傾向 〜リスキリングは開業年数によって差。ライトなものからスタートし、経営改善に必要なスキル習得へ変化〜
独⽴開業⽀援を⾏う株式会社アントレ(本社:東京都港区、代表取締役:上⽥隆志、以下「当社」)は、この度、過去に企業勤めの経験がある 20代から60代までの経営者 558 名を対象に脱サラ経営者の実態調査を実施しましたので結果を発表します。 当社は、1997 年より独⽴開業⽀援サイト「アントレ( https://entrenet.jp/?vos=nentnetetcpr_00001」を運営し、2012 年より独⽴開業者の働き⽅に関する実態把握を⽬的に脱サラ経営者への調査を実施しており、過去データと⽐較することで社会の変化や流れを可視化しています。
詳細の調査データ:https://entrenet.jp/pr/entre_kaigyousyatyousa2023.pdf
■総括:
【23年度の独立トレンド】は副業・リスキリングネイティブ世代となる20代が開業を後押し
コロナ下以降、不安定な状況下での新規開業は20代では半数を占める結果となりました。
また、社会変化を捉え、副業やリスキリングが浸透し、意欲的に実施している様子が見えます。独立に役立てるために副業を開始し、実に7割がリスキリングを実施している実態。
他年代の平均では、リスキリング実施の割合が4割にとどまる中、20代では、7割と意欲的。習得スキルも多岐にわたり「ライティング」、「Webデザイン」、「プログラミング」、「語学」、「DXなどの知識」の習得で前年代を上回っています。
また、独立スタイルについても、20代は幅広い働き方を選択している様子が見えます。自力起業43.3%、業務委託・フリーランス26.7%の割合を占める様子は30代に近いものがあります。しかし、フランチャイズ、代理店の割合は、全年代比で2倍超と高くなっていて、自身のスキルに足りない部分を補う手法を効率的に取り入れている様子が特徴的です。
60代では自力起業37.7%と親族等からの後継34.0%が近い数値となっていて、独立スタイルについても時代変化がわかります。
副業が浸透し、リスキリングの波を早々に捉え実践まで進める副業・リスキリングネイティブ世代である20代の躍進が、今後の新規開業のトレンドも作り上げていくと推測します。
■調査結果の詳細
有効回答数:2023年度(n= 523)・2022年度(n= 511)・2021年度(n=498) ・2020年度(n=522)
◇21年の新規開業者のピーク以降、新規開業者は鈍化傾向
・23年度は、1年未満は過去4年で最も低く(5.4%)、10年以上の割合が54.1%(昨年比+5.8%)と最も高い。
・コロナ禍2年目2021年度をピークに新規開業者は減少傾向で、求職率や景気の回復が影響か。
◇コロナ下以降の20代の開業率は約5割。若者のチャレンジ精神が日本の開業を後押し
・新規開業は20代の割合が全年代で最も高く20.0%。また、コロナ下初期にあたる2~3年目の開業を含むと約5割(46.7%)、時流の見通しが立ちにくい場面でのチャレンジ精神が際立つ。
・起業家・ベンチャーブームがあったアントレ創刊時の27年前に20代だった現50代の層では10年以上の開業年数が最も高い8割を超える結果となった。今も昔も若者のチャレンジ精神が日本の開業を後押ししていると言える。
◇コロナ下は「フリーランス(36.7%)」、ウィズコロナ時は「フランチャイズ加盟(16.7%)」の伸び率が高い
・1年未満・1~2年未満での「自身での起業」は45%超と、2~3年未満から約5%増。
・コロナ禍初期の2~3年未満の開業者は「フリーランス」の割合が最も多く36.7%(他年数平均比+10.7%)。
・ウィズコロナ期の1~2年目には、フランチャイズ加盟割合が他年数平均比+13.7%の16.7%となり、長引く不安定さからサポートが充実したフランチャイズを求める傾向が見える。反対に、後継が0%に落ち込み、当時、継承タイミングの見定めもしくは廃業などがあったと想定される。
◇20代の3人に1人が会社員に戻りたいと思うことがある/50代の6割強は会社員に戻りたくないの対比
・20代の開業者の約3人に1人が「会社員に戻りたいと思うことがある」と回答。戻りたくないを唯一上回る年代となった。転職市場でもチャレンジしやすいことも要因か。
・最も「戻りたくない」と回答した年代は50代で64.9%となり、他年代平均と比較して約2割も多い結果に。定年を控え、生涯現役の働き方に魅力を感じている様子。
・若年性の選択肢の多さと、団塊ジュニア世代の覚悟の対比が見える。
◇コロナ下で開業した1~3年未満の層にゆらぎ。会社員に戻りたい割合が経年より高い傾向
・ウィズコロナ下で開業した1~2年未満の層の37.5%が「会社員に戻りたい(と思うことがある)」と回答。次いで2~3年未満の開業者で34.7%。先行き不透明な時期の独立と、現状との比較で迷いが生まれている。
・「戻りたくない」の割合が最も少ないのは、 1年未満の開業者となったが、どちらともいえないが約半数のため、1年時点では不確実要素が高いことがうかがえる。
・約半数が戻りたくないと回答していることから、 3年継続できれば開業後の事業安定が図れることがわかる。
※参考:昨年度は、会社員に戻りたい(と思うことがある)ピークは、2~3年未満の開業者で48.8%と約半数、1~2年未満では17.5%と、過去3年分でもその傾向が強かった。(PDF 13P参照)
◇独立初年度は300万円以下が最多。事業開始時には一時的に年収は下がるが、事業継続で年収増傾向は継続
・現在の年収は500万円以上が30.6%で最多(独立前18.3%/独立初年度18.7%)
昨年度は500万円以上が26.8%であったことから、好調な事業運営がうかがえる。
◇現在の年収でフランチャイズ加盟は500万円以上の割合が唯一6割超/後継は初年度から安定
・フランチャイズ加盟は、独立初年度の300万円未満の層は後継の次に低く(43.8%)、現在の年収でも500万円以上の割合が唯一6割超(64.2%)で順調さがわかる。
・自身での起業は初年度と現在で最も1000万円以上の割合増加率が高く、約3倍。
・スモールスタートが可能な業務委託・フリーランスは成長率も緩やかで1000万円以上の高所得者の割合は現在も最も少ない。
・後継は既にあるものを受け継ぐため初年度から安定収入が見込める。
◇副業に対する考え方の変化は年代別にみると顕著。20代の8割超が副業を経営に役立てている。
・20代では「生かされた」割合が最多83.3%となり、60代では42.9%と約半数。
社会変化に伴う価値観の変化が若年層を筆頭に浸透してきている。
◇独立検討時の困った点は、問題なしが最多。コロナ下の独立は個人活動が活発の一方、交流が希薄に。
・1位が元々設定していた時期、2位がやりたいビジネスが決まった、3位に資金の目途が立った と、上位5位までは事前に計画している準備層が占める。計画的な独立に向けた準備が浸透している様子。
◇独立決意の理由は、上位が自己意思による決断を占め、やむを得ない事情や不満という要素は減少
・1位もっと自分の自由になる仕事がしたい(29.3%)、2位やりがいのある仕事をしたいと思った(22.8%)※昨年3位から2位に。 3位気持ちにゆとりがある仕事(19.9%)。
上位は自己意思による決断を占め、やむを得ない事情や不満という要素ではない
※参考値だが、昨年は、3位が会社での仕事に限界(18.2%)だった。23年度は3.5%減。(23年度の上位3位は昨年も選択肢としてあった)
◇独立から3カ月以内に使った金額では、0円と50万円未満の割合が過去最多(53.9%)
・ゼロ+50万円未満で53.9% 100万円未満の割合で約7割を占める傾向は昨年同様。
・初期投資が少ない独立スタイルや、事前に資金調達が万全か、低投資が主流。
・1000万円以上の高額投資の割合も過去平均(5.2%)より2.3%少ない。
◇自社の働き方としては、「場所にこだわらない」「副業・兼業OK」が約3割という結果
・在宅推奨(35.6%)、オフィスがない(34.0%)と、場所にこだわらない働き方が多い
・副業・兼業OKの割合も約3割で、柔軟な働き方を推奨していることがわかる。
・福利厚生の充実(10.7%)、週休3日(9.6%)と従業員ケアに力を入れている様子も。
◇外部影響による業績変化は、マイナス影響が半数(51.8%)を占める
・アフターコロナ後、社会情勢等の外的要因によるマイナス影響は半数の51.8%で発生。影響なしも41.5%だがプラスは6.8%と、厳しい状況が継続している様子がうかがえる。
◇業績変化を受けた外部影響は、いまだにコロナウイルス感染症が約3割(28.9%)の結果に
・特になしの割合が最も高い37.1%。次いでコロナウイルスが28.9%とまだまだ影響が高いことがわかる。
・インボイスなどの法律改正も、個人事業主を中心に影響が高かった(23.9%)
◇業績変化を受けた外部影響は、いまだにコロナウイルス感染症が約3割(28.9%)の結果に
・全業種通してマイナス影響はコロナウイルスがもっとも高い傾向(濃い緑)。主に対人サービス(飲食・娯楽・医療・教育)や出社が必要な業種(製造・卸売業)でコロナウイルスの影響が6割を超えている。
アフターコロナを向かえてもなお強いマイナス影響力があることがわかる。
・飲食業界では食料品の高騰が直撃、燃料高騰も電気ガスに限らず金融・福祉・飲食と幅広い業種で影響が発生。個人で開業可能な情報通信や運輸・電気ガスでインボイス影響も。
・食料品の物価高騰影響は主に飲食店、小売で、燃料高騰は農業や電気・ガスで影響あり。
◇開業年数によって必要なスキルが変化。ライトなものからスタートし、経営改善に必要なスキル習得に。
・学び直しをしていないが56.2%で最も高いが、残り、43.8%はリスキリングを実施していると回答。
・内訳はライティング(12.6%)、WEBデザイン(12.2%)、ITスキル(11.7%)となり、個人で習得しやすい、在宅やPCだけで取り組める内容のものが上位
◇開業年数によって必要なスキルが変化。ライトなものからスタートし、経営改善に必要なスキル習得に。
・20代は、学び直しに意欲的で、学び直しをしていないとの回答が全年代中、最も低い30.0%。
また、比較的ライトに個人でスキルセットが可能なライティング、Webデザイン、プログラミング、語学、DXなどの知識の習得で前年代を上回っている。
・学び直しで人気は、30代で「動画編集」、40代で「Webデザイン」、50代「プログラミング」、60代は「DXなどの知識」「マネジメント」「財務や経理」と習得内容の難易度に変化があった
◇開業年数によって必要なスキルが変化。ライトなものからスタートし、経営改善に必要なスキル習得に。
・1~2年未満は比較的ライトに習得が可能なライティングがもっとも多く50.0%。
2~3年未満でWEBデザイン・マーケティング(26.5%)、3~5年未満でITスキル(29.2%)やマネジメントも全体より高く、最もリスキリングに取り組みやすい時期であると言える。
5~10年未満になると財務経理、データ分析、マネジメント等、より経営改善に必要なスキル習得を求めており、開業年数によって必要なスキルが変化する様子が顕著
■ 調査概要
調査対象:過去に企業勤めの経験がある 20 代から 60 代までの経営者(脱サラ経営者)
調査期間:2023/12/19~2023/12/23
⽅法:インターネット調査
有効回答数:523 名
■脱サラ経営者に関する実態調査 過去のリリース
【2022年調査】アフターコロナの独立は初期投資を抑えた「スモールスタート」がトレンド(2023/03/16発表)
https://entrenet.jp/corporate/news/news100/?vos=nentnetetcpr_00012
【2021年調査】コロナ助成金・給付金の活用が浸透し、事業継続に向けた奮闘が顕著(2022/01/24発表)
https://entrenet.jp/corporate/news/news71/?vos=nentnetetcpr_00012
【2020年調査】前職に戻りたい経営者は1割どまり、生き残りへの奮闘が目立つ(2021/02/17発表)
https://entrenet.jp/corporate/news/news38/?vos=nentnetetcpr_00012
■独立・開業支援サイト「アントレ」について
https://entrenet.jp/?vos=nentnetetcpr_00001
1997年2月より、独立のために必要な情報を集約した日本最大級の独立開業専門サイト。利用者の興味関心のある独立開業プランへの「資料請求&資料ダウンロード、説明会予約」機能を提供。先輩の成功談・失敗談や企業検索から説明会・個別面談会情報まで比較検討できるフォーマットで提供する点が特長。アントレの会員数は37万人を超え、230件以上のフランチャイズ・代理店・業務委託募集といった独立開業プランを紹介掲載することで、週2,500~4,000件の資料請求や説明会予約につながっている。(2024年3月現在)
■独立ワークスラボについて
https://corp.entrenet.jp/about/fellow/?vos=nentnetetcpr_00001
「独立」に関する社会背景や独立開業に踏み出す人々の最新動向を発信することで、個人を軸にした多種多様な働き方の浸透を目指す働き方に関する研究機関。活動内容は、働き方に関する心理行動変容の調査やアントレに蓄積された統計・定性データの分析レポート公開、事業承継やセカンドキャリア、若手・女性の働き方をテーマとした「副業・複業・独立」へのアプローチを考えるイベントの開催など。
■株式会社アントレ会社概要
個人の独立開業を支援するため、フランチャイズ・代理店・業務委託募集等のインターネット広告事業とイベント運営を実施。1997年より、独立のために必要な情報を集約した日本最大級の独立開業専門サイト「アントレ ( https://entrenet.jp/ )」を運営。
社名:株式会社アントレ
代表取締役:上田隆志
所在地:〒107-6111 東京都港区赤坂5-2-20赤坂パークビル11階
事業内容:独立した働き方を支援するインターネット広告事業と展覧会・イベント等企画及び運営。
URL:https://corp.entrenet.jp/?vos=nentnetetcpr_00001