【ロスジェネの昔と今、就職氷河期世代の働き方実態調査】 ロスジェネ最大の特徴は、男性が独立意向6割強、女性は副業意欲4割と高い結果 現職不満あり層の「理想の働き方」も個人事業主が最多、他世代では正社員が最多と対照的 〜新卒時に非正規でもその後正社員化が進んでいる実態、一方「女性と非大卒」の不遇さに課題〜
独⽴開業⽀援の株式会社アントレ(本社:東京都港区、代表取締役:上⽥隆志、以下「当社」)は、この度、独立志向のあるアントレ会員を対象に、就職氷河期世代の実態調査を実施しました。当社は、1997 年より独⽴開業⽀援サイト「アントレ( https://entrenet.jp/ )」を運営し、会員30万人が利用するサービスへと成長する過程で、さまざまな世代の実態や課題を調査することで、働き方のトレンドや社会変化を可視化してきました。
今回の調査では、就職氷河期世代を1971年~1980年生まれの40代(現在41~50歳)と定義し、年代別、性別、学歴別による比較から、そこに潜む社会課題を推測しています。
主な調査トピックス
・【現在】正社員率が氷河期世代の男女ともに他世代を逆転(他世代比:男性+3.7%/女性+10.5%)
・【希望の働き方】氷河期男性は独立意向(63.8%)が高く、女性は副業意欲(38. 5%)が最多
・【希望の働き方実現】ロスジェネは「1年以内に行動予定80.0%」で他世代67.0%より高い行動力
・【現職不満層の希望】氷河期世代は個人事業主(42.1%)、他世代では正社員(60.0%)が最多
・【新卒時の正社員率】年代別は氷河期女性(53.8%)の不遇さ、非大卒が顕著
・【学び直し】他世代と比べ氷河期男女ともに意欲が顕著、自分のキャリアへの向上心が高い
■総括
・【昔】ロスジェネ女性の不遇さが顕著
就職氷河期世代とひとくくりにはできず新卒時の雇用形態から男女差が如実に現れていることがわかりました。氷河期世代の女性で正社員率の低さは顕著で53.8%。この数字は、他世代女性と比較して-28.3%、同じ氷河期世代である男性と比較しても-18.5%と不遇さが目立つ結果となっています。さらに新卒から勤続している層は0%ということからも不本意な就職であったことがうかがえ、氷河期のあおりを最も受けたのは女性だったと推測できます。
・【今】6社以上の転職などで現在の雇用を選択した努力の跡が見て取れる現状
現在の雇用実態では、氷河期世代の正社員率が男女共に他世代を逆転する結果となり、6社以上の転職などを繰り返しながら、現在の雇用を選択した努力の跡が見てとれます。
同時に、氷河期世代では、現在の正社員の割合が高いものの、新卒時より雇用形態における満足度が低いという結果も出ていて、必ずしも正社員であることが満足度を高める要素ではないこともわかってきました。
現職の満足度においては、氷河期世代の女性は全体的に男性よりも満足度が高く、特に通勤時間(76.9%)、人間関係(69.2%)の満足度の高さが際立つことから環境の良さへのこだわりが現職の選定理由にもつながっていると推測できます。「あくまで働き方を選択するのは自分である」という強い意志を感じられるのが特徴です。
さらに、氷河期世代の男性からは、現職の個人事業主・フリーランス・自由業の割合が23.4%と全世代中最多で、他世代男性比+10.6%・同世代女性比+23.4%と高い水準を示していて、雇われない生き方を実現する姿勢が顕著に見えています。
一方、他世代では、現職の雇用形態に不満を持つ層(氷河期世代31.7%/他世代28.3%)のうち、氷河期世代の42.1%が個人事業主・フリーランスを希望し、他世代の60.0%が正社員を希望していることがわかりました。
他世代の安定志向は、就職時の失敗経験が少ないことにも由来しているとも推測できるでしょう。
・【まとめ】
これらのことから、従来、新卒就職は「正社員一択」という雇用形態が当たり前だった日本において、氷河期世代は正社員での就職が難しく、非正規、アルバイト・パートなど多様な形で社会人経験をスタートさせたことから、結果的に、正社員一択という働き方の固定概念を払拭し、他の働き方選択肢を広げる結果となっており、コロナ下の不安定な時代でも働き方の変化を恐れない人材に成長しているといえるかもしれません。
■調査結果の詳細
【新卒時/現在の雇用形態の推移について】
ロスジェネの昔
・新卒時の正社員率の低さは氷河期世代の女性で顕著(53.8%)(他世代女性-28.3%/同世代男性-18.5%)
・氷河期世代の男性は、他世代男性と比較し正社員の割合は-7.2%となり、就職難易度の高さがうかがえる
・氷河期世代では男女ともにアルバイト・パートの割合が高く(男性:19.1%/女性:23.1%)、
女性では更に契約社員の割合が15.4%と、非正規雇用の割合の高さが目立つ。
ロスジェネの今
・現在の雇用形態では正社員率が氷河期世代で男女ともに逆転(他世代比:男性+3.7%/女性+10.5%)
・正社員率は氷河期世代の男性が44.7%、女性が46.2%となり、他世代と比較して逆転の結果に。
・氷河期世代の女性では、正社員率がどの世代よりも最多(46.2%)に。
・氷河期世代の女性は、派遣社員が15.4%と高く(同世代の男性比+11.1%)、アルバイト・パートの割合が23.1%、会社経営者・会社役員の割合も7.7%と最多となり時間の融通の利く仕事が求められている実態。
・氷河期世代男性では個人事業主・フリーランスの割合が23.4%と最多で、他世代男性比+10.6%・同世代
女性比+23.4%と独立志向が強く、雇用への諦念、不条理さを脱する働き方への渇望を感じさせる。
・氷河期世代では、現在の正社員の割合が高いものの、新卒時より雇用形態における満足度が低い
就職氷河期を自覚している層であることから、就職できたこと自体で満足度が高くなったと考えられる。
氷河期世代は他世代と比べ、新卒時は不満の割合は-2.5%、現在は+3.4%となっており、正社員の率が高くなっている現在の方が、雇用形態に不満を持っていることが明らかとなった。正社員であることが満足度とは比例しないことが推測できる。
【就職当時の不安】
氷河期男性の不安は多岐にわたり、他世代より悩みが多い様子が見える
・氷河期男性の不安1位「この会社で長く働けるか(40.4%)」、2位「やりたい仕事ではない(38.3%)」(他世代男性比+17.8%)、3位「給与・収入が上がるか(36.2%)」と、高水準の悩みが3項目あり悩みが多岐にわたっているのに対し、他世代男性の不安1位「この会社で長く働けるか(43.6%)」で、高水準の悩みとしては唯一。
・年代別、男女別に比較すると、氷河期女性は1位「給与が上がるか(46.2%)」(他世代女性比+28.3%)、「スキルアップ、正規雇用の登用、仕事と生活のバランス」が同率2位(23.1%)とこちらも不安要素が多岐にわたるが、他世代女性では「人間関係(28.6%)」が1位、続いて「残業が多いなど不規則な働き方(25.0%)」が2位となり、就職後の悩みが主な不安という結果となった。
【希望する雇用形態(現職不満ありのみ)】
現職不満あり層の希望する働き方は、氷河期世代では個人事業主・フリーランス(42.1%)、他世代では正社員(60.0%)を希望し対照的
・氷河期世代では雇われない働き方への渇望が見え、他世代では安定した働き方への憧れに捉われる傾向が見て取れる。
【転職の実態】
全世代ともに6社以上の会社に勤めた割合が約3割と最も高く、職を変えることに抵抗が少なくなっている
・6社以上の割合が最も高いのは氷河期世代男性で38.3%(他世代男性+12.7%)。氷河期世代の女性では最初に
入社した会社に勤続している割合は0%となり、新卒での就職活動が不本意であったと推測される。
【現職への満足・不満足】
氷河期男性は現職への満足度が低く、特に会社の福利厚生・人事制度への不満が約6割超。氷河期女性は男性より22.8%も満足度は高いものの「人事評価制度」には不満が大きい結果に
・氷河期世代の男性では現職への不満度が57.4%(女性比+26.6%)と高く、賃金・給料(63.8%)人事評価(59.6%)、人材育成(57.4%)といった会社の制度や体制に関する不満が高い結果に。
・氷河期世代の女性では、全体的な満足度は男性より22.8%も高く、詳細では通勤時間(76.9%)、人間関係(69.2%)の満足度が際立つことから環境の良さへのこだわりが現職の選定理由にもつながっていると推測できる。唯一
大変不満が2桁を超える15.4%が人事評価制度となっていて、不遇さが垣間見える結果となった。
【現在の不安】
コロナ下の不安定な情勢のためか、給与・収入の不安が全世代を通して最も高い結果に
・氷河期世代、他世代の男性ともに現在の不安2位に、やりたい仕事ではない(氷河期27.7%/他世代23.1%)
がランクインし現状打開が不安の種となっている様子がうかがえる。
・氷河期世代の女性は、2位に独立起業できるか、副業できるか、在宅環境など働く環境を選べるかといった、
次のステージを見越した悩みが23.1%で同率となった。
・他世代の女性では、給与・収入が上がるかの割合が全世代を通して最も高い50.0%となり、次いで将来の貯蓄・資産形成(28.6%)と、今の生活や老後を見越した項目を不安要素に挙げている。
【これからの働き方】
希望の働き方は、氷河期男性は独立意向(63.8%)が高く、氷河期女性は副業意欲(38. 5%)が最多。
・氷河期世代の男性では「独立開業したい(44.7%)」、「独立している今の状況の継続(19.1%)」となり、6割が独立意向を持つ状態は全世代で最も高い結果だった。
・氷河期世代の女性は、副業意欲が全世代最多の38. 5%に。2.6人に1人が現職を継続しながらのダブルワークとして副業を希望している。
・他世代男性の1位も氷河期男性と同じく1位が「独立開業したい」だが28.2%(-16.5%)に留まった。
同じく他世代女性の1位も氷河期女性と同じく「副業」だが25.0%(-13.5%)となり差が顕著な結果に。
【次の働き方の実行予定時期】
氷河期世代では「1年以内に行動予定」が8割となり、他世代より行動力が高い
・希望の働き方実現「1年以内に行動予定」が氷河期世代80.0%に対し、他世代67.0%となった。
・具体的に決まっていないについては、他世代が17.9%となり、氷河期世代より11.2%も高い結果に。
【学歴別の雇用形態実態】
正社員率は学歴差の影響が見られ、特に、勤続にあたっては学歴差が顕著
・ 新卒時の正社員率では、大学卒業(80.9%)と比較して、中学卒業(28.6%/大卒比-52.3%)高校卒業(77.3%/大卒比-3.6%)、専門学校卒業(67.7%/大卒比-13.2%)と、非大卒の正社員率の低さがわかる。
・ 現在の雇用形態では学歴の高さと正社員率の高さが比例している。企業で勤続するには、学歴が重要視される実態が推測できる。逆に、個人事業主・フリーランス・自由業・自営業の割合は、反比例となり雇われない生き方は、学歴の影響は受けないことが推測できる。
・ 大学卒業の正社員率は、氷河期世代(75.0%)に対し他世代(84.1%)と、氷河期世代が9.1%も低い結果にとなり、氷河期世代と非大卒の掛け合わせによってより不遇さが際立つ。
■ 調査概要
調査対象:アントレに会員登録をしている20代以上の男女
調査期間:2022年10⽉13⽇〜11月1⽇
⽅法:インターネット調査
有効回答数:166名
■独立・開業支援サイト「アントレ」について
https://entrenet.jp/
1997年2月より、独立のために必要な情報を集約した日本最大級の独立開業専門サイト。利用者の興味関心のある独立開業プランへの「資料請求&資料ダウンロード、説明会予約」機能を提供。先輩の成功談・失敗談や企業検索から説明会・個別面談会情報まで比較検討できるフォーマットで提供する点が特長。アントレの会員数は34万人を超え、230件以上のフランチャイズ・代理店・業務委託募集といった独立開業プランを紹介掲載することで、週2,500~4,000件の資料請求や説明会予約につながっている。(2023年2月現在)
■独立ワークスラボについて
https://corp.entrenet.jp/about/fellow/
「独立」に関する社会背景や独立開業に踏み出す人々の最新動向を発信することで、個人を軸にした多種多様な働き方の浸透を目指す働き方に関する研究機関。活動内容は、働き方に関する心理行動変容の調査やアントレに蓄積された統計・定性データの分析レポート公開、事業承継やセカンドキャリア、若手・女性の働き方をテーマとした「副業・複業・独立」へのアプローチを考えるイベントの開催など。
■株式会社アントレ会社概要
個人の独立開業を支援するため、フランチャイズ・代理店・業務委託募集等のインターネット広告事業とイベント運営を実施。1997年より、独立のために必要な情報を集約した日本最大級の独立開業専門サイト「アントレ ( https://entrenet.jp/ )」を運営。
社名:株式会社アントレ
代表取締役:上田隆志
所在地:〒107-6111 東京都港区赤坂5-2-20赤坂パークビル11階
事業内容:独立した働き方を支援するインターネット広告事業と展覧会・イベント等企画及び運営。
URL:https://corp.entrenet.jp/
株式会社アントレのプレスリリース
- 株式会社アントレ
- 新商品・サービス提供開始
- 12ヶ月前