新型コロナウイルス感染症予防対策に応じた独自の臨地実習を公開~コロナ禍で直接看護援助が行えない看護学生の臨地実習をVRを用いて対応~
ハートランドしぎさん看護専門学校(所在地:奈良県生駒郡三郷町、学校長:竹林由浩、以下「本校」)が、従来看護学生の実習で実施されるべき臨地実習がコロナ禍で実施できない中、現場実習と同等の学びを行いながら単位修得を行える新しい形の臨地実習を7月29日(金)10時から行いました。
<老年看護学実習 実習概要>
1. 日時:2022年7月29日(金) 10:00~12:00
2. 場所:ハートランドしぎさん看護専門学校(教室、実習室)
3. 住所:奈良県生駒郡三郷町勢野北4丁目13番1号
4. 内容:「新型コロナウイルス感染症予防対策に応じた新しい臨地実習の実態」
5. 参加者:本校学生、本校教員、ハートランドしぎさん病棟実習指導者
■本実習を行う背景
看護学校の臨地実習は、「知識・技術を看護実践の場面で適用し、看護の理論と実践を結び付けて理解する能力を養う場として重要である。」※1とされ、看護学生は卒業するまでに臨地実習の23単位を修得する必要があります。臨地実習は病院・施設で実施されますが、昨今のコロナ禍の影響で、多くの病院・施設が入院患者や施設利用者の感染リスクを減らす目的で関係者以外の立ち入りを制限していることから、教員・看護学生が病院・施設に入ることができず、病院・施設で臨地実習を実施できない問題が発生しています。
このことから、厚生労働省は「実習施設等の代替が困難である場合、実状を踏まえ実習に代えて演習又は学内実習等を実施することにより、必要な知識及び技能を習得することとして差支えないこと。」※2とし、救済措置を許可しているのが現状です。
2021年度の日本看護学校協議会の調べでは、看護学校(大学・短大・専門学校・専修学校等)731校で「96.6%(706校)が臨地実習受け入れ不可となった」と回答しており、市場の視聴覚教材や市場シミュレーターを用いた代替実習を行ったと回答しています。
また、臨地実習を病院・施設で実施した場合においても、「看護対象と対面した時間」が88.6%、「看護技術実施回数」が82.5%、それぞれ例年より減少したと回答しました。※3さらに、同協議会が2022年6月に発表した「新型コロナウイルス感染拡大による看護師養成所への影響について」のデータによると、2021年度の臨地実習の実施割合は、精神看護学が一番低く、20.1%(5校に1校)の学校が、精神看護学実習を全く実施できていない実態が明らかとなりました。※4
本校の母体病院である「ハートランドしぎさん」では、これまで看護学生や作業療法士、医療ソーシャルワーカーなど多職種の臨地実習を受け入れてきましたが、コロナ禍では他院と同様に臨地実習の受け入れを止めていました。今年度は、看護対象である患者や学生がコロナワクチン接種済の状況や、感染者数が減少傾向であること、抗原検査や簡易PCR検査等検査状況の充実もあり、臨地実習の受け入れも状況に応じて少しずつ再開しています。
一方、本校が母体病院で行っている「精神看護学実習」や「老年看護学実習」は、対象者が感染対策(マスクの装着・密を避ける・手指消毒など)を患者自身で行えないこともあり、実習を再開しにくい状況です。
以上を踏まえ、本校では、看護学生が臨地実習と同等程度の学びを得て臨地実習の単位を修得できる「オンライン」・「VR認知症※5」や「老人体験器具」を用いた疑似体験等の実習を実施しています。また、この実習では、看護学生が看護師になった後も臨地実習を受けなかったことに不安を感じることなく、安心して業務遂行ができるようになることも狙っています。
■本実習の詳細
(精神看護学実習 2単位90時間・老年看護学実習 2単位90時間)
精神看護学実習・老年看護学実習については、2名の看護学生が受け持ち患者を1名担当し実習を行っています。看護学生は実際に患者に接することができないため、病院に設けられた電子カルテ閲覧室で患者の電子カルテを閲覧したり、病棟の実習指導者とのオンラインカンファレンスで患者情報や病棟での患者の様子、患者に対する看護現場をヒアリングすることで学びを深めています。また、学内でシルバーウッド社が開発した「VR認知症」を用いて認知症の症状を本人視点で体験したり、「老人体験器具」を用いて老年期の対象の疑似体験をしてロールプレイを行うことで、知識を深め学びを担保しています。
※1 :令和2年6月 厚生労働省医政局看護課 新型コロナウイルス感染症の発生に伴う看護師等養成所における臨地実習の取扱い等について
https://www.mhlw.go.jp
※2 : 令和2年6月 厚生労働省医政局他 新型コロナウイルス感染症の発生に伴う医療関係職種等の各学校、養成所及び養成施設の対応について
https://www.mhlw.go.jp
※3 : 令和3年2月 (一社)日本看護学校協議会「96.6%が病院実習受け入れ拒否を経験 ~学習成果減少、学生にワクチン早期供給を~」
https://kyodonewsprwire.jp/prwfile/release/M106476/202102161092/_prw_PA1fl_6T3lk8co.pdf
※4:令和4年6月 (一社)日本看護学校協議会「新型コロナウイルス感染拡大による看護師等養成所への影響について ~2020年度と2021年度の比較より~」
※5:株式会社シルバーウッド VR認知症 https://angleshift.jp/
■演習授業の参加者の声
<看護学生のコメント>
・実際にグループメンバーが演じた患者様役を通して、援助を受ける人の気持ちや、援助者側となったときに、どの様な配慮をすればよいのか、どのように関わることで喜んで頂けるのかを知ることができました。今後、コロナ禍で現場の看護師の方が大変な中ではありますが、国家試験に合格して、早く最前線に立ち、現場を支えられる看護師になりたいです。
(3年生 井阪 史弥)
・VR認知症の体験を通して、患者の立場になることで、その時に抱く不安を体験できたので、患者様に接するときは、その方が今どのような状況で、どのような思いを抱いてい
るのかを考えながら、声掛けを行っていきたいです。また、私はどんな時も笑顔で相手
の立場になって、行動に移せる看護師を目指していきたいです。
(3年生 中山 愛心)
<教員のコメント>
・看護学生にとって臨地実習での学びは、実際に患者様と関わることで、その方の心に寄り添った看護を深めていくための貴重な経験です。昨今、コロナ禍の影響で、多くの病院・施設での実習は、感染リスクを減らす目的で実習ができない状況があります。高齢者を対象とした老年看護学実習Ⅱにおいて、臨地での実習は厳しい状況にありますが、認知症VR体験・受け持ち対象を想起した高齢者擬似体験やロールプレイ・リモートでは、実習指導者から指導を頂きながら、望ましい看護を考えられるよう工夫しました。実習生の反応から、認知症を患っている方の気持ちに二重化し、その方に寄り添った声かけやもてる力に目を向けた看護援助を考える土台作りはできたのではないかと思います。これから出会う患者様に、今回学んだことを忘れず、心に寄り添った看護を実践してほしいと願っております。
(老年看護学担当 仲村 ひろみ)
・コロナ禍で、これまで通りの方法で実習を受け入れることが難しくなり、大変心苦しく思っています。しかし、学内実習でVRや高齢者疑似体験、ロールプレイを取り入れられたことで、相手の立場や視点を知るという、病院実習とはまた異なる貴重な経験ができたのではないかと思います。相手のことを理解し、必要な支援を考えるということは、看護の基本です。卒業後は、この学びを患者様へのケアに活かしていただきたいと思います。現場でお待ちしています。
(実習病院 教育担当長 松村 麻衣子)
・「患者さまの立場に立ち、認識(心)を洞察して寄り添い支えることのできる看護師」を育成するために、コロナ禍であっても歩みを止めることなく、これからも試行錯誤を繰り返しながら、本校の教職員一同で看護教育を楽しみたいと思います。
(副学校長 高塚 由香里)
■本校の教育方針について
本校では“心”を大切にしたカリキュラムを実践しています。
人を知り、患者さまの心を知るために欠かせない一般教養を養う「基礎分野」、看護する喜びや心の豊かさの学びを重視した「専門分野」、また認識論の導入など、常に相手と自分の心に目を向けられる看護師の育成に力を注いでいます。
URL:https://www.shigisan.ac.jp/education/
■ハートランドしぎさん看護専門学校 概要
学校名:ハートランドしぎさん看護専門学校
代表者:学校長 竹林由浩
所在地:〒636-0815 奈良県生駒郡三郷町勢野北4丁目13番1号
看護師国家試験 合格率:100%(2011年~2019年)、97%(2020年)、100%(2021年、2022年)
卒業生:1938名(2022年3月現在)
URL:https://www.shigisan.ac.jp/
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