シニア向けの建設現場作業員の求人、休日の多い求人はまだ少ない傾向 〜シニア専門求人メディア「シニアジョブ」掲載建設求人の「2024年問題」の影響を調査〜
シニア転職支援の(株)シニアジョブ(本社:東京都新宿区/代表取締役 中島康恵)は、建設業のシニア求人におけるいわゆる「2024年問題」の影響を調べる目的で、2024年9月9日時点のシニア専門求人メディア「シニアジョブ」の建設業の掲載求人を調査しました。調査の結果、建設関連の求人全体や施工管理などの技術職においては、「土日祝休み」などの休日が多い求人や、残業が少ないことを謳った求人が2〜4割程度に達した一方、現場作業員など作業に直接従事する仕事の求人では、残業が少なめの求人は4割を超えたものの、休日が多い求人は数パーセントにとどまることがわかりました。
■調査の背景と調査内容について
2019年に労働基準法が改正され、時間外労働の上限が以前よりも厳しく制限された中で、その適用に猶予期間が設けられた事業・業務について、猶予期間が2024年3月で終了したいわゆる「2024年問題」は、依然として労働や転職の現場で話題に上ることが多くなっています。
特にシニアジョブでは、シニア専門人材紹介・人材派遣「シニアジョブエージェント」(https://senior-job.co.jp/)と、シニア専門求人メディア「シニアジョブ」(https://seniorjob.jp/)の2つのサービスのどちらでも、建設業やドライバーなど「2024年問題」の影響が大きいとされる職種の取り扱いが多いことから、「シニア転職における2024の影響」について質問を受けることが多くありました。
これを受け、時間外労働の上限の猶予期間終了から間もなく半年が経過する現在、シニア向け求人にはどのような「2024年問題」の影響が見られるのか、シニア専門求人メディア「シニアジョブ」に掲載された建設業関連の求人に絞って調査しました。
シニア専門求人メディア「シニアジョブ」では、エリア、職種、雇用形態に加え、「60代歓迎」などの様々な求人特徴で絞り込んだ求人検索ができる機能があります。
この機能の中で休日や残業時間に関係する「完全週休2日制」、「年間休日120日以上」、「土日祝休み」、「残業なし・月平均20時間以内」の条件で絞り込んだ求人数を比較することで、「2024年問題」を意識した求人の割合の職種ごとの違いを調べました。
■シニア向け建設関連求人の「2024年問題」の影響調査結果のポイント
シニア専門求人メディア「シニアジョブ」に掲載された建設関連求人について、休日や残業に関する特色の条件での絞り込みを行い、その求人数を調査した結果のポイントは下記のとおりです。
・建設業の求人全体や施工管理などの技術職では、休日が多い求人、残業が少ない求人ともに全体の20〜40%程度を占める
・現場作業員や重機オペレータ―など直接作業に従事する職種では、残業が少ない求人は40%を超えるが、休日が多い求人は3〜10%程度と少ない
・ただし、シニア向け求人全体や調理の求人でも、残業が少ない求人は多いが休日が多い求人は少ない傾向にあるため、建設業が特殊なわけではない
・休日や残業に関する特徴のある職種ごとの求人の多寡と、求人で提示される給与の平均の増減には明確な関連が見られない
まず、求人メディア「シニアジョブ」掲載の、「建築・土木・建設」の求人全体や、技術職である「建築施工管理」、デスクワークも多い「建築設計」の求人などでは、「完全週休2日制」、「年間休日120日以上」、「土日祝休み」、「残業なし・月平均20時間以内」に該当する求人がいずれも20〜40%程度を占め、ある程度の求人では、休日、残業時間ともに意識した求人があることがわかりました。
強いて述べれば、「建築施工管理」と「建築設計」の求人では「残業なし・月平均20時間以内」の割合が40%を切っており、技術職では残業時間よりも休日への意識が高い可能性が感じられました。
一方、「現場作業員」や「重機オペレータ―」といった直接作業に充実する職種では、「残業なし・月平均20時間以内」の求人は40%以上となり、残業時間は意識されていることが伺われるものの、休日に関する条件に該当する求人は10%程度以下となり、「重機オペレーター」では「完全週休2日制」、「土日祝休み」に該当する求人は3.5%と極めて少ないなど、休日は少ない可能性があることがわかりました。
ただし、求人メディア「シニアジョブ」掲載求人全体や、参考として挙げた「調理・調理補助・料理長」の求人でも、「残業なし・月平均20時間以内」に該当する求人が多く、休日関連の条件に該当する求人が少ない傾向は同様です。
そのため、「現場作業員」や「重機オペレータ―」の求人について、特別に休日が少ない傾向があるのではなく、むしろ、建設業関連の求人全体や、施工管理などの技術職において、休日が多い傾向を謳った求人が増えている特色があるのではないかと見られます。
中には、もう1職種例示した「エンジニア・SE(Web系)」の求人のように、「完全週休2日制」、「年間休日120日以上」、「土日祝休み」などの休日関連条件に該当する求人が、軒並み60〜70%に達する職種もあり、働き方が多様化する中では、シニア向けでも様々な条件の求人があることがわかります。
求人メディア「シニアジョブ」では、求人条件ごとに求人で提示された給与の平均を表示する機能があることから、今回の休日や残業時間の上限と、平均給与の関連についても調べてみました。
しかし、「エンジニア・SE(Web系)」の求人では、休日や残業時間に恵まれた求人では軒並み平均給与が低下し、「休日や残業時間に恵まれた条件のために、その分、給与が下がっている」と考えられなくもない傾向が見られましたが、建設業関連の求人を含めた中ではまとまった傾向が見られず、「優秀な人材を確保するために、休日や残業と給与のいずれも高待遇を提示している」といった仮説も含めて、具体的な見解を絞り込むことができませんでした。
■シニア向け建設関連求人の「2024年問題」の影響調査結果
調査結果の数値データは下記のとおりです。
●「シニアジョブ」の掲載求人すべて 26,758件(平均年収366万円)
・完全週休2日制 26.2%(掲載求人全体よりも平均給与が上昇)
・年間休日120日以上 8.3%(掲載求人全体よりも平均給与が上昇)
・土日祝休み 9.6%(掲載求人全体よりも平均給与が上昇)
・残業なし・月平均20時間以内 74.8%(掲載求人全体よりも平均給与が下降)
●建築・土木・建設の求人すべて 1,971件(平均給与表示不可)
・完全週休2日制 30.9%
・年間休日120日以上 20.2%
・土日祝休み 29.9%
・残業なし・月平均20時間以内 40.4%
●現場作業員の求人 351件(平均年収375万円)
・完全週休2日制 11.1%(現場作業員の求人全体よりも平均給与が下降)
・年間休日120日以上 4.6%(平均給与表示不可)
・土日祝休み 7.4%(すべての現場作業員の求人よりも平均給与が下降)
・残業なし・月平均20時間以内 43.3%(現場作業員の求人全体よりも平均給与が下降)
●重機オペレータ―の求人 86件(平均年収462万円)
・完全週休2日制 3.5%(平均給与表示不可)
・年間休日120日以上 9.3%(平均給与表示不可)
・土日祝休み 3.5%(平均給与表示不可)
・残業なし・月平均20時間以内 48.8%(重機オペレータ―の求人全体よりも平均給与が上昇)
●建築施工管理の求人 458件(平均年収500万円)
・完全週休2日制 30.3%(建築施工管理の求人全体よりも平均給与が上昇)
・年間休日120日以上 22.1%(建築施工管理の求人全体よりも平均給与が上昇)
・土日祝休み 32.5%(建築施工管理の求人全体よりも平均給与が上昇)
・残業なし・月平均20時間以内 39.5%(建築施工管理の求人全体と平均給与は変わらず)
●建築設計の求人 93件(平均年収500万円)
・完全週休2日制 41.9%(建築設計の求人全体よりも平均給与が上昇)
・年間休日120日以上 39.8%(建築設計の求人全体よりも平均給与が上昇)
・土日祝休み 43%(建築設計の求人全体よりも平均給与が上昇)
・残業なし・月平均20時間以内 36.6%(建築設計の求人全体よりも平均給与が下降)
●参考・エンジニア・SE(Web系) 143件(平均年収462万円)
・完全週休2日制 62.2%(Web系エンジニア・SEの求人全体よりも平均給与が下降)
・年間休日120日以上 70.6%(Web系エンジニア・SEの求人全体よりも平均給与が下降)
・土日祝休み 60.8%(Web系エンジニア・SEの求人全体よりも平均給与が下降)
・残業なし・月平均20時間以内 42%(Web系エンジニア・SEの求人全体と平均給与は変わらず)
●参考・調理師・調理補助・料理長 2,772件(平均時給1,100円)
・完全週休2日制 24.3%(調理師・調理補助・料理長の求人全体と平均給与は変わらず)
・年間休日120日以上 3.6%(調理師・調理補助・料理長の求人全体よりも平均給与が上昇)
・土日祝休み 4%(調理師・調理補助・料理長の求人全体よりも平均給与が上昇)
・残業なし・月平均20時間以内 79.8%(調理師・調理補助・料理長の求人全体と平均給与は変わらず)
■調査概要
シニア専門求人メディア掲載の建設業関連求人における「2024年問題」の影響についての調査
・調査日: 2024年9月9日
・調査機関: 自社調査
・調査対象: 上記調査日時点でシニア専門求人メディア「シニアジョブ」に掲載された求人26,758件(※1)
・対象地域: 全国
・調査方法: 上記調査日時点でシニア専門求人メディア「シニアジョブ」に掲載された求人26,758件について、求人全体、建築・土木・建設の求人すべて、現場作業員の求人、重機オペレータ―の求人、建築施工管理の求人、建築設計の求人(※2)、参考としてエンジニア・SE(Web系)および調理師・調理補助・料理長の求人をそれぞれ休日および残業に関する条件で絞り込み、件数を比較調査
(※1)調査対象の求人には、過去に求人を掲載していたものの掲載を取り下げた求人または登録を取り消した企業の求人を含まないが、募集を停止している求人は含む。
(※2)現場作業員、重機オペレータ―、建築施工管理、建築設計の職種は、直接作業に従事する職種と、直接作業に従事しない職種から、求人件数が多い職種を2職種ずつ抽出。
(※3)エンジニア・SE(Web系)および調理師・調理補助・料理長の職種は、建設業以外の職種で「完全週休2日制」、「年間休日120日以上」、「土日祝休み」、「残業なし・月平均20時間以内」の条件に該当する求人数が、いずれの条件でも多い職種の中から、傾向が異なる2職種を抽出。
■シニアジョブ 代表取締役 中島康恵からのコメント
今回、「2024年問題」に関連して、シニア専門求人メディア「シニアジョブ」の建設業関連求人で、残業が少ない求人や休日が多い求人を調べました。
調査結果の数値上は、他の職種を含めた求人全体との違いが見られませんでしたが、これは、2016年から施工管理技士などの紹介を行ってきた感覚値で述べると、ここ数年で建設業での働き方が大きく改善されているためだと感じます。やはり数年前までは残業や連勤の多い業界でしたので、その変化を感じます。
また、建設業の求人に応募するシニア求職者の変化も感じます。以前は残業や連勤をむしろ歓迎するシニアが多かったものが、最近では稀に残業や休日出勤を「まったくやりたくない」という方も見られます。
それぞれ事情があるため、それ自体が悪いわけではありませんが、建設の現場で残業や休日出勤がまったくのゼロはまだ難しく、就業には不利となります。「2024年問題」の残業の上限規制でも残業をゼロとするわけではありません。通院や健康上の理由などで理由があって長時間労働が難しい方は、働けない時間、働ける時間をより具体的に示すようにしましょう。
■シニア専門求人メディア「シニアジョブ」について
50歳以上のシニアに特化した求人サイト事業として、2022年8月にオープンしました。求人の対象が主に50歳以上になることを了承した企業のみが求人を掲載しており、また、求人企業の平均年齢や、50代・60代・70代以上の勤務人数といったシニアの活躍情報がわかるなど、シニアが安心して応募や就職活動ができる機能が揃っています。
求人企業もキャンペーン期間中は初期費用無料、成果報酬制で、採用決定までは、求人を何件掲載しても無料で使用できます。
お仕事をお探しのシニアの方や、シニア人材採用をお考えの企業の採用担当者の方は、サイトからご登録・お問い合わせをお願いいたします。
・お仕事をお探しのシニアの方はこちら https://seniorjob.jp/
・企業の採用担当者の方はこちら https://seniorjob.jp/landing/client/lp-03/
【会社概要】
代表 : 代表取締役 中島 康恵
本社 : 東京都新宿区大久保2丁目5−22セキサクビル8F
URL : https://corp.senior-job.co.jp/
事業内容 : シニアの人材ビジネス提供
運営サイト:
シニアジョブ: https://seniorjob.jp/
シニアジョブエージェント: https://senior-job.co.jp/
シニアタイムズ: https://senior-job.co.jp/magazine/
本件に関するお問い合わせ先
株式会社シニアジョブ 広報部 安彦(あびこ)
TEL:080-4107-5851 e-mail:m-abiko@senior-job.co.jp