TMS-007(JX10)の前期第Ⅱ相臨床試験結果に関する論文掲載のお知らせ
株式会社ティムス(以下「当社」という。)は、急性期脳梗塞を対象疾患として開発を進めておりますTMS-007(JX10)の前期第Ⅱ相臨床試験結果にもとづく論文が、米国心臓協会(AHA: American Heart Association)/米国脳卒中協会(ASA: American Stroke Association)が発行する学術雑誌「Stroke」に掲載されましたのでお知らせいたします。
当社で実施したTMS-007(JX10)前期第Ⅱ相臨床試験では、日本国内の90名の患者さんを対象とし、最終正常時から12時間以内の有効性及び安全性において優れた結果が示されました。関連する過去のリリースについては、こちらをご覧ください。
https://www.tms-japan.co.jp/ja/news/news5765315389889593477/main/0/link/TMS20210518J.pdf
今回の「Stroke」誌掲載により、当該臨床試験の意義が広く確認されることで、今後のTMS-007(JX10)の開発推進に資することが期待されます。
【概要】
論文タイトル:
Anti-Inflammatory Thrombolytic JX10 (TMS-007) in Late Presentation of Acute Ischemic Stroke
タイトル和訳:
急性期脳梗塞の受診遅延患者における抗炎症血栓溶解剤JX10(TMS-007)
著者名:
新妻邦泰*1–3, 西村直子*4, 長谷川啓子4, 森豊隆志5, 工藤與亮6, Josh Bell7, Michael Wald7, 梅田佳史8, 栗林和彦9, 戸田康夫9, 冨永悌二1, 蓮見惠司4,10
* 共同第一著者
1 東北大学大学院医学系研究科神経外科学 2 東北大学大学院医工学研究科神経外科先端治療開発学
3 東北大学大学院医学系研究科神経外科先端治療開発学 4 株式会社ティムス研究開発部
5 東京大学医学部附属病院臨床研究推進センター 6 北海道大学大学院医学系研究院画像診断学教室
7 Biogen Inc., Cambridge, MA, USA 8 株式会社新日本科学PPD
9 バイオジェン・ジャパン株式会社 10 東京農工大学大学院農学研究院応用生命化学部門
掲載誌名: Stroke注
注 脳循環とその疾患のあらゆる側面の臨床的および基礎的研究の報告を掲載する学術誌
掲載URL: https://www.ahajournals.org/doi/10.1161/STROKEAHA.124.048464
公開日: 2024年11月7日
論文要旨:
承認されている血栓溶解薬は、最終正常時(LKN)から4.5時間以降のベネフィット・リスク・プロファイルのため、急性虚血性脳梗塞(AIS)治療への使用が制限されている。JX10(TMS-007)は、新規の作用機序を有する低分子のSMTPファミリーメンバーであり、プラスミノーゲンとフィブリンの結合を促進し、血栓形成部位の炎症を抑制しながら生理的血栓溶解を促進する。JX10は、非臨床試験の薬理学的エビデンスに基づき、治療期間を延長する可能性がある。この多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照用量漸増フェーズ2a試験では、LKNの12時間以内に組織プラスミノーゲンアクチベーターまたは血栓除去術を受けることができなかった日本人のAIS患者に、JX10またはプラセボを単回点滴静注した。一次エンドポイントは,薬剤投与後24時間以内にNational Institutes of Health Stroke Scale(NIHSS)スコアが4点以上悪化した症候性頭蓋内出血(sICH)の発生率とした。90例の患者が登録され、プラセボ(n=38)またはJX10の1、3、6mg/kg(それぞれn=6、18、28)が投与された。ベースラインのNIHSSスコアの中央値(範囲)は、JX10併用群で8(6-21)、プラセボ群で8(6-22)であった。LKNからの投与時間の中央値(範囲)は、JX10群で9.5時間(5.0-12.1)、プラセボ群で10.0時間(3.7-12.0)であった。投与後24時間以内のNIHSSスコアが4点以上悪化したsICH発生率は、JX10群で0%(0/52;95%信頼区間[CI]0.0-5.6)であったのに対し、プラセボ群では2.6%(1/38;0.1-13.8)であった(p=0.42)。ベースラインの閉塞病変スコアが3未満(39/90)であった患者の24時間後の血管開存率は、JX10群では58.3%(14/24)で改善したのに対し、プラセボ群では26.7%(4/15)であった(オッズ比4.23;95%CI 0.99-18.07)。JX10併用群では、90日目のmodified Rankin Scale 0-1スコアがプラセボ群に比べて有意に高かった(JX10:21/52、40.4% vs プラセボ:7/38、18.4%;p=0.03)。結論として、JX10は良好な忍容性を示し、新規血栓溶解薬としてAISの治療域を拡大する可能性がある。
以上