脊髄損傷に対する新規治療薬候補の導入における北海道大学との独占的実施許諾契約締結に関するお知らせ
当社は、国立大学法人北海道大学(所在地:北海道札幌市、総長:寳金清博、以下「北海道大学」)との間で、同大学が保有する脊髄損傷治療薬候補物質(以下「本剤」)の知的財産権に関する、全世界における独占的実施許諾契約(以下「本契約」)を締結しましたので、お知らせいたします。
当社は、パイプライン拡充の一環として、アカデミアを中心に医薬品シーズの探索を行っております。その過程で見出した本剤について、2022年7月に北海道大学との間においてオプション契約を締結し、有効性、安全性、市場性等について評価を進めてまいりました。この度、当該オプション権を行使し、TMS-010として脊髄損傷治療薬候補における開発を行う機会を得ることとなりました。
記
1.脊髄損傷について
脊髄は脳からの「手足を動かす・痛みやシビレを感じる」といった信号を手足の細い神経に伝える太い神経のようなものですが、強い外力などで脊椎が折れたり、大きくずれたりすると、その中に入っている脊髄も一緒に損傷され、運動麻痺・感覚麻痺・排尿排便障害などに至ることがあります※1。脊髄損傷は、日本では年間約5,000人※2全世界では年間約18万人※3の患者が発生しているものの、未だ効果的な薬剤がない重篤な疾患です。現在、標準治療としてステロイド療法が認められていますが、十分な治療効果が得られているとは言い難い状況であり、新たな治療薬が求められています。
2.TMS-010について
本剤は北海道大学で見出された脊髄損傷治療薬候補化合物です。血液脳脊髄関門(BBSCB:Blood-brain spinal cord barrier)の破綻を防ぐことで、脊髄の二次損傷を抑制する神経保護作用が期待できます。本剤の動物実験での薬効については、北海道大学及び当社において各種の実験結果により確認されています。
3.契約の概要
本契約により、当社は、日本を含む世界の全ての国における本剤の開発、生産、使用、販売等の活動を独占的に実施する権利を取得します。なお、当社は、北海道大学に対して、一時金、アニュアル・フィー、及び今後の開発進展や承認の取得に応じ開発マイルスト―ンを支払う可能性があります。同支払総額は、最大で、2024年4月12日公表の当社の2025年2月期 研究開発費の見込み額の3割程度となります。さらに、開発が進み上市した場合には販売額に応じたロイヤリティを北海道大学へ支払う可能性があります。
4.今後の見通し
本契約よる当年度の支出額(一時金及び当年度のアニュアル・フィー)については、2024年4月12日公表の、2025年2月期 研究開発費の見込み額に含まれており、当年度の業績への影響は軽微であります。なお、今後公表すべき事項が生じた場合は速やかにお知らせいたします。
〈出典〉
※1 一般財団法人日本脊髄外科学会Webサイト(https://www.neurospine.jp/original62.html)
※2 Miyakoshi, N, et al. A nationwide survey on the incidence and characteristics of traumatic spinal cord injury in Japan in 2018. Spinal Cord 59(6), 626-634 (2021)
※3 Lee, BB. et al. The global map for traumatic spinal cord injury epidemiology: update 2011, global incidence rate. Spinal Cord 52(2), 110-116 (2014)
以上